1-1は運命か? どう取るべきか。

1-1になったらみなさんはどう取りますか? ドキドキしますよね。見ている限りほとんどの方が自陣を囲って取りますよね。相手陣を攻めることを信条にしていると公言している選手でも、なかなか相手陣にはいかないですよね。

1-1は運命戦と言いますが私はそうは思いません。なぜなら過去に苦い経験があって、会長の松川さん、私の前の名人の望月さんには1-1で相手陣が必ず読まれ何度も負けました。確率は1/2のはずなのに運ではない何かがある!と思うようになったからです。当時の私は極端に言うとあまり考えずに集中力を高めて、若さとスピードで勝負するかるたでしたが、考えるかるたを意識するようになり経験を積んで、なんとなく札の出方を読むことができるようになったと思っています。

その一方で、試合展開から自陣がでる自信があっても、相手陣を6:4もしくは7:3くらいで取りに行けるように意識しています。もともと自陣は鉄壁だという自負もあり、隙あらば相手陣を抜いてやろうと思っています。それをやる理由は勝率を上げるため。ほとんどの対戦相手がこちらの陣を取る気配を見せないというのもあります。こちらの陣に来ないことが分かっている相手に対して、自陣の札を高速で取る必要は全くないので、相手陣に意識を傾けても大丈夫だと考えています。

これは当然ですが札にもよります。自陣が2字決まりで相手陣が6字決まりなら、自陣が違うと判断してから相手陣へ行きます。

もちろん相手陣を抜くことはかなり難しいわけですが、お手つきを誘えるかもしれませんし、相手が空振りをするかもしれません。審判をする立場からすると相手陣を抜きに行くのはやめて欲しいのですが、お互いに自陣を囲い合うだけの運命戦は見ていてつまらない、そう感じます。最近は1-1に限らずもっと早いタイミングから固めてひたすら囲う人も多いので、勝率を上げるための作戦とは言え、もっとかけひきや緊張感を楽しんで欲しいと思います。特に超A級選手には魅せるかるたを披露して欲しいですね。

ということで、いきなりはできませんから普段から練習しておくことをおススメします。団体戦でも役に立つことがあるかもしれませんよ。

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名人戦の1-1はたまらない緊張感がありました。

 

 

小さい頃に始めると有利なのか?

私は小学一年生から始めましたが、確かに最近の名人・クイーンは小学生から始めた選手ばかり。それが有利に働いている可能性はありそうです。そのひとつは基礎力が高いからではないかと考えます。

 

高校や大学で競技を始める方が多いと思いますが、みなさん本当に短期間で強くなりますよね。それは小学生にはなかなか難しいことなのになぜ実現できるのか。

  1. 体が(かなり)できあがっている。
  2. 情報を得ながら自分で考えることができる。
  3. A級になることはもちろん、高校選手権・大学選手権・職域など明確な目標がある。
  4. 一緒にがんばれる仲間がいる。
  5. 周りにライバルがいる。

他にもあるのでしょうが、「情報を得ながら自分で考えることができる」これがひとつのポイントではないかと思います。小学生が決して考えることができない、と言っているのではなく、受験や卒業というタイムリミットもあるため、手っ取り早く強くなることを考え、そのためのノウハウを取り入れたり教え込まれたり。これにより基礎が十分に身につかないままある程度強くなっている人が多いように思います。

その基礎力とは「暗記をしっかりして全ての札へ反応し、速くそして正確に取ること」です。

手っ取り早く強くなるための方法の代表例は、「(他人による)定位置設定」と「(自陣を捨てるくらいの)相手陣攻め」だと思っています。確かに定位置を決めれば暗記は楽になるかもしれませんが、相手も札も試合展開も毎回違う中で、定位置以外に置くと取れないようでは柔軟性に欠けます。相手陣攻めについては、同じように相手陣を攻める相手がほとんどなので、がら空きの相手陣は取れて当たり前という状況で試合をすることになり、自陣の意識が薄れることと、相手陣への攻めも本当に通用する速さが身についていない可能性が考えられます。

 

小学生から始めた選手は、(人にもよりますが)払い練はもちろん、全ての札を全力で暗記して取りに行くことからスタートしているため基礎がしっかりしています。そして成長の過程で定位置を工夫し、狙ったり送り札を考えたり、そうやって力を積み重ねているため、安定した強さがあるのではないかと思います。

もう一つあげるとすれば継続力。同じように小さい頃に始めた人でもやめてしまった人は大勢います。長く続ければ経験値は上がりますが、それ以上に苦しい思いもたくさんしてきたはずです。単に小さい頃からやってきたから、という理由では片づけられない強さがあるのだと思います。

ある方が言っていましたが、「何度も挑戦して負けて心が折れそうになったけど、諦めずにがんばってタイトルとれて本当に良かった」と。高校や大学、また社会人になってから始めた方でも基礎を大切に継続していれば、きっと自分の目標には到達できるのが競技かるただと思います。

練習や大会ができない状況が続いていますが、基礎力を高める個人練習に取り組むチャンスと考え、再開した際には力を発揮して欲しいと思います。

 

ちなみに私は小さい頃に始めてよかったと思います。そうでなければ競技かるたに興味を持つことは多分なかったと思うので。あと、小さい頃からたくさん良い経験をさせていただいたので、これからいろいろ還元していきたいと思っています。

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映像活用のススメ

大きな大会やイベントの延期、中止が続く中、またも緊急事態宣言の延長が発表されました。 静岡県三島市は日々の感染者数が1~2名(昨日はゼロ)といった状況なので、気を付けながら日常生活を送ることができています。練習も通常通り実施できているので大変ありがたい環境にあることを認識しながら、いつ大会が開催されてもいいように会員の実力アップに励んでいます。

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市内の川でよく見かけるカモが近所の路面でひなたぼっこをしているくらい平和です 

コロナによって全国的に活動が制限された今のような状況が続くと、選手や入会希望者に大きな影響を及ぼします。コロナ禍でやれることは限られますが、個人や会のレベルではそれぞれ知恵を出してあって、やれることをやるしかないですね。

 

一人で暗記や払いの練習をするのにも飽きたかもしれませんが、今の時代に合った練習方法として、ぜひ映像を活用していただきたいと思います。他人の試合をYouTube 等で見るのもひとつですが、自分の構えや払いのチェックをすることをオススメします。

スマートフォンでもフルハイビジョンや4Kといった十分キレイな映像が撮影できます。カメラの設定画面に進むともうひとつ「fps」といった設定項目があります。これはフレームレートといって、1秒間の動画が何枚の画像で構成されているのかを示す単位です。要はパラパラ漫画ですね。「30fps」と「60fps」では「60fps」の方が画像が2倍で構成されるので、より細かい滑らかな映像が撮影できるということです。 

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※スローモーション撮影では「240fps」で撮影できる機種も多くありおススメです。

 かるたのように速く正確に動かなければならない競技では、より数値の高い「fps」に設定した方が、札に触る瞬間などの画像が撮れている可能性が高くなるのだと解釈しています。逆に低い数値で撮影すると大事な瞬間が画像として映っていない、その一方で次の画像に一気に飛ぶので、再生した時には動きが速く見えるのかも?(素人解釈です)

スマートフォンなどのカメラは身近にあると思います。ぜひ、自分がどの指で、札のどの部分に触れているのか、毎回正確に再現できるレベルへと引き上げるための、客観的に見るツールとして有効活用していただけたらよいのではないでしょうか。遠くない将来、かるたにもビデオ判定が導入されるかもしれませんので、上級選手にもぜひやっていただきたいですね。

「60fps(上)」と「30fps」を比較してみました。 

 よく分からないと思うので画像にします。下の画像は取る直前です。

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1コマ送ると「60fps」が札に触れた瞬間、「30fps」では払った後になっています。「60fps」ではこの部分の画像が1枚多いということです。

もう1コマ送ると同じ払った後になります。

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※スローの「240fps」設定ならもっと段階的な画像で触った瞬間が分かったかもしれません。

 横からや斜めからなど角度を変えて撮影、確認するとより分かるはずです。みなさん、映像を活用して速くて正確な取りを目指してください!

【映像公開】幻の全日本選手権大会

2021年4月25日は第60回全日本選手権大会が開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大により中止となりました。選手のみなさんも残念であったと思いますが、YouTubeでの中継を楽しみにしていた方も多くいらっしゃったと思います。きっと大会の名勝負のひとつになったであろう、山下さん(元クイーン・ちはやふる小倉山杯優勝)と川瀬さん(ちはやふる小倉山杯3位)の過去の対戦動画を簡易編集したのでアップします。お二人とも本調子ではありませんが、特に終盤戦は目が離せずまさかの展開に! ぜひお楽しみください!

 当面は大会の中止や延期が続くかもしれません。対戦形式の練習も十分に行えないかもしれませんが、個人でもできることはたくさんあります。考える時間もあります。前向きにがんばっていきましょう!

【映像公開】山下恵令さんとのリベンジマッチ

三島せせらぎ会に再び山下恵令さん(元クイーン、2020ちはやふる小倉山杯優勝)が来てくれました。前回のリベンジに挑みましたのでその様子を公開します。全身を映したカメラに加えて、角度を変えた複数のカメラで撮影していますので、体の使い方、指先の使い方なども参考にしていただければと思います。特に山下さんの聞き分けと体の柔らかさは必見です! 

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来週に迫った今年のちはやふる小倉山杯、山下さんの活躍を応援しています!

※山下さんと川瀬さんの試合を見たい方も多いと思いますが、それは来週の決勝戦でご覧ください!

近江の神様

待望のちはやふる46巻が発売されましたね。1勝2敗、2勝1敗という展開での選手の心境や周囲の様子がリアルに描かれていてドキドキしながら読みました。「浦安の間」の入口、履物がきれいに揃えられていて、机くんと肉まんくんが笑顔で送り出し、千早がそれに応えるシーンが印象的でした。

 

「どれだけ思えるか 自分が人の応援に足る選手であると 追い風を受け切って 近江の神様にここにいていいと言われるのは自分だと」 

 

私はかるたに最も必要な力のひとつで、最強の力であり、誰でも身につけることが可能な力が「運を引き寄せる力」だと考えています。運は良い悪いではなく引き寄せるもの、言い換えれば神様を引き寄せる力だと思います。

 

近江の神様は、近江神宮に入る前から、普段からずっと見ていて、試合の最後の最後、本当に大事なところでほんのちょっとだけ勇気を与えてくれます。いつでも誰にでもというわけではなく、ここにいていいと認められた場合にだけ勇気を与えてくれるものだと経験からそう思います。一度や二度ではなく何度もくじけそうになった場面があり、それでも私が結果を残せた理由は、考えれば考えるほど近江の神様が近くにいてくれたからだと思います。自称ですが今まで近江の神様に一番助けてもらったのは私です。

 

大事なところで近江の神様を引き寄せるために私たちが出来ることと言えば、普段から真面目に練習して力をつけるだけでなく、立ち振る舞いが謙虚であるとか、人に優しくするとか、かるた以外の生活でも一生懸命である必要があると思います。試合までに”今まで精一杯がんばって生きてきた”と神様に堂々と言える状態(=自分に自信がある状態)でなければ神様はきっと現れてくれないでしょう。それどころか周囲の人からも本当の意味で応援してもらえないでしょう。都合の良い時にだけ神様や周りを頼っても力にはなってくれないということです。

 

それと、近江の神様が与えてくれるのは”勝ち星”ではなく”勇気”であるという点もポイントです。つまりその勇気を武器に勝ち切る実力は別に必要だということです。どんなに一生懸命にやってきたとしても、近江の神様が勇気を与えてくれたとしても勝敗は別です。それでも私は勝つことよりも、周りの人や神様から応援されるような存在でありたいなと思います。

 

さて、私は家族やかるた仲間からもらったお守りを着物の左袖、袂部分に入れて試合をしていました。お守りは通常返納するものですが、勇気をくれた近江の神様に感謝をしつつ、ずっと大切に持ち続けています。有難いことに毎年勝って溜まっていくので重くなってしまったのですが、みんなの想いと一緒に試合をしていました。近江の神様、本当にありがとうございました。 

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最後に、私は札を取るだけでなく、運気を引き寄せる手を持っています。手相はよく分かりませんが「ますかけ線(知能線と感情線が一つとなり、真っ直ぐ掌 を横切る線)」があります。つかんだ運は絶対に放さない大変縁起の良い手相で、天下取りの相とも呼ばれ 、勝負運が強く大きな成功をつかみやすいそうです。性格的には頑固な人が多いと言われているので当たっているなと信じきっています。

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