新しいTシャツが完成しました

以前のTシャツは会を創設する前のものであったためTシャツを刷新しました。

胸には当会のロゴマーク、背中には新しいイラストを「かるた道」(あいうえお作文になっています!)の文字とともにカラーで配置しました。

ロゴマーク(富士山、せせらぎ、三島梅花藻)は当会所属会員がデザインし、清らかなイメージに仕上げてくれました。またイラストは、三島市のマスコットキャラクターみしまるくん・みしまるこちゃんのデザインを手掛ける高柳順子さんに、かるたを楽しむ様子を表現していただきました。

Tシャツは全4色、フルカラー印刷は珍しいと思うので、どこの大会に行っても目立つこと間違いなし。もちろん競技で存在感を出せるよう練習していきます。このTシャツを背負い、正々堂々と、楽しく美しく取って欲しいと思っています。

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早稲田の栄光 ~職域学生かるた大会への想い~

昨日の学生選手権に続いて、職域学生かるた大会について。一番大きく影響を受けたのは、初出場した第68回大会(1997年8月、大学1年の時)です。しばらく続いていた早大の時代から東大の時代へ変わろうとしていた時なのかなと思います。

少し前の大学選手権、前日の学生選手権で個人としては優勝して、調子も悪くない状態で臨んだ大会でした。決勝の相手は東大、私は3年生の白川雅志さん(現在は府中白妙会に所属)と対戦し、チームが2敗の状態で札クロスを完成され、敗れるという苦いデビュー戦となりました。 

一番印象的だったのは、当日の終了後に行われた反省会。ホームの高田馬場に戻って先輩OBOGも参加する中、まるで通夜のような雰囲気だったことです。早稲田のアフター(練習後に集まって飲食したり遊ぶこと)の雰囲気が好きで、いつも先輩に楽しく遊んでもらっていた私にとっては衝撃的でした。

冷静に戦力を考えれば、早大は予選で高校選手権を制した長泉高校にチームとして敗れるという不安要素があるなど、決勝には進出したもののA級優勝経験者を揃える東大との戦力差は明らかでした。しかしながら、それでも団体戦は何が起こるか分からない、勝つ可能性もゼロではなかったわけで悔いが残る大会でした。そして何よりも、早大のエースとして看板を背負って戦うということは、常に勝ち続けなければならないということなんだ、と気持ちを新たに全てを懸けることにしました。

それ以降、実力アップを目指して練習したことはもちろんですが、勝つためにできることは何でもやろうと誓いました。その一つは、前日の学生選手権に出場しない、と決めたことです。職域の決勝戦まで戦うと二日間で10試合となり、特に夏場は今と違ってエアコンもない環境でしたから体力の消耗を防ぐためです。今思えば倒れて救急車で運ばれた人もいましたから、熱中症だったのだと思います。相当過酷な環境でした。

次の第67回で優勝し、4年間で春夏合計8回出場して4度の優勝を遂げることができました。もちろんチームが負けて悔しい経験もしましたが、後輩の成長もたくさん見ることができました。大きな優勝杯で飲むビールが格別で、高校時代仲間がいなかった私としては、チームで勝つ喜びをたくさん味わうことができました。それが私自身の大きな成長につながっていますから、早稲田大学という環境にとても感謝しています。

最後に、優勝した時にみんなで歌う「早稲田の栄光」がたまらなく最高で好きでした。

~重ね来し歴史尊く 承け継ぎて輝く早稲田 早稲田 早稲田 我等の早稲田~♪

 今は出場チームの増加により春夏分割しての大会となっていますが、チームのためにプライドをかけて戦う大会として、今後も続いて欲しいなと思います。

マシンが違う ~学生選手権の思い出~

本来であれば今日は学生選手権大会、明日は職域学生かるた大会(団体戦)でした。特に学生のみなさんにとっては一大イベントであり、目標とする大会だと思うので残念なことと思います。私も大学時代は非常に力を入れた大会で、成長につながった舞台なので、来春は開催されることを願っています。様々な思い出がありますが、1999年夏の学生選手権大会で、ひとつの印象的な言葉に出会いました。

当時私は全国大学かるた連盟の会長をしていたので、選手ではなく企画運営側として参加しました。リクルート社のアルバイト求人情報誌「フロム・エー」が学生を応援する企画があり、それに応募して協賛をいただくことに成功。「学生選手権大会~フロム・エー・カップ~」として開催し、開会式において当時副会長(現会長)の松川さんにご挨拶いただきました。

「企業がスポンサーとして応援してくれる大会を見て、私もレーサーとして企業の冠を背負って戦っていた時のことを思い出す。他の多くの選手とはマシンが違うんだ、そういう気持ちで常に戦っていた。」といった内容だったと記憶しています。

この「マシンが違う」という言葉がとても印象に残っていて、そういった気持ちでずっと競技をやってきました。自分は他の選手とは持っている能力・性能が違うんだ!と言い聞かせ、だからこそ速く、美しく取らないといけない、1枚の札など細部にこだわらず、圧倒的な力の差で勝たないといけない、と自分に課してきました。またどんなに優れたマシンであってもメンテナンスを怠ったり、性能を過信したり、性能に頼りすぎたりしていてはダメだ、という教訓を得たこともありました。

今は練習もままならない状況にありますが、自分の性能を正しくチェックして、性能をアップさせるための機会、マシンをピットインしている状態だと思って取り組んでみてはいかがでしょうか。きっとそれが自信につながると思います。

さて、その大会のA級で優勝したのは後にクイーンになった坪田翼さんだったはず。あの美しい取りは当時からマシンが違いました。あともうひとつ余談です。協賛金を賞金に充て現金で準備したところ、ある所からお叱りを受けました・・・。学生に現金は良くなかったのかなぁ、今でもちょっと疑問ですが、思い出の大会となりました。

家でもできる練習(配置編)

 久しぶりに「家でもできる練習」を更新します。今回は「配置」についてです。

みなさんは定位置をどのように決めましたか? 初めは誰かに決めてもらい、その後アレンジした人が多いのではないでしょうか。試合がなく時間がある今、もう一度考えてみるチャンスではないかと思います。

私は小学校1年生から競技を始めましたが、定位置というものを教わったり考えたことがありませんでした。とても恥ずかしいのですが当時の写真を公開します。手前左が私なのですが、なんと自陣が右、真ん中、左と3つのブロックに分かれているという衝撃的な並べ方をしています。

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※これは競技を始めて1年弱、近江神宮に初めて行った大会(おそらく高松宮杯)で、小学校低学年の部(4年生以下)に出場した時のもので準決勝の様子です。32名が出場して私の兄(写真奥)が優勝、私はこの試合で1枚差で敗れて3位という結果でした。

なぜこのような変な並べ方にしたのか当時の自分に聞いてみたいくらいですが、短い札を固めてひたすら守っていたような記憶があります。その際に自陣が3つに分かれていた方が相手の攻めが分散され、札に近い自分の方が有利と考えたのではないかと思います。札については写真では確認できませんが、決まったところに置くというよりは、一字札は下段の近い場所に置くとかそのレベルで決めていて、右、真ん中、左のバランスを意識していたように思います。

なぜ定位置を決めるのか。決めずに毎試合違う配置にすると暗記をするのが大変ですし、同じところに置くことで、その音が読まれたらその位置に反応するという反復練習をすることで速く取ることができます。他にも理由はあるのでしょうが、決めることのデメリットとしては、札によって左右のバランスが極端に悪くなることがあり、相手が攻めやすい状況をつくってしまう(同時に自分も自陣を意識せざるをえない状況になる)ことになります。また配置を変えることに慣れていないために、特に中盤から終盤にかけて配置を変えるという作戦をうまく使えないことになります。

だったらガチガチに定位置を決めずに柔軟な配置にすれば良い、というのが私の考えです。どこに並べても取れる状態にしておくこと、そういった暗記をすることが大切だと思います。

例えば運命戦になった時、右利きの方であればほとんどの人が最後の1枚を右下段に置くと思います。定位置が左上段だからといってそのまま置いておく人はいないでしょうし、右下段に変えたのに間違って定位置の左上段に手を伸ばす人はいないでしょう。運命戦は極端ですが、必ず変えなければならない、変えたら有利に進めることができる局面は訪れます。どんなに相手陣を取って札を送り続けて自陣の陣形をつくろうとしても限界があります。そういった時にその場で変えようとしてもうまくいくはずはありません。日頃から変える練習をしておくべきではないでしょうか。

 さて、私は続ける中で試行錯誤をしながらなんとなく定位置というものができあがっていきました。今回ランダムに25枚をとって10試合分並べてみたのが下の写真です。(相手陣の配置は無視して並べています)

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私の理想の陣形は、左右のバランス、上中下段のバランスがとれていることです。写真は全て左右12-13枚ずつになっていますが偶然ではありません。どこかに固めたりせず、競技エリア全てを使って勝負します。その上で、決まり字に応じて、

・一字決まり 下段内側

・二字決まり(うつしもゆ) 下段

・その他二字決まり 中下段

・三字決まり 上段

・四字決まり以上 中下段(入らない時は上段も)外側

だいたいこんな感じで並べています。

・一字決まり、二字決まりは自分の近いところに置いておけば、相手に攻められて反応が遅れたとしても取れる可能性が高いだろう。

・三字決まりは別れ札が多いので、相手陣にも向かっていける上段の方が両方取りやすいだろう。

・四字決まり以上は意識しない札、取られてもいい札で、囲われないように外側に置いて後から行っても下から入れたらラッキー、そのかわり他の短い札を暗記しよう。

と考えてこのような配置にしています。

試合が進んで枚数が少なくなっても左右のバランスは大事にしているので、左右の移動を行います。また決まり字の変化に応じて、相手から遠く、自分に近くなるように上段は中段へ、中段は下段へ下げていきます。変えるタイミングも作戦として非常に大切だと思っていますから相手、試合展開をみて考えています。

定位置として基本はありますが、必ずここじゃないとダメだ!と決めている札はそれほど多くありません。左右のどちらに置いても大丈夫な札をどうやって作っていくのか、それは練習や試合を重ねて、定位置以外の場所でも速くうまく取れた時のイメージを蓄積していくことです。そして暗記の時に、その蓄積したイメージを呼び起こして暗記をすることです。

定位置や構えなど、一度決めて慣れてしまったスタイルを変えることは非常に勇気のいることです。特にある程度実力のある選手、勝っている選手ほど難しいことでしょう。配置を自在に操れることができれば有利と分かっているのに、実践して速くうまく取る選手は不思議なほどいません。もともと暗記をして取る競技ですからできるはずです。時間がある今だからこそチャレンジしてみてはいかがでしょうか。ぜひ型にはまらない、自分なりのかるたを目指して欲しいと思います。

最後に配置に基づいた暗記と意識をどのようにしているのか。相手陣も合わせたウエイトはざっくり、一字決まりが5%、二字決まりが80%、三字決まり(別れ札)が10%、単独の三字決まりが4%、四字決まり以上が1%といった感じです。もちろん相手、相手の配置、試合展開によって柔軟にやっています。全ての札を完璧に取ることは不可能ですから、優先順位をつけて、その中でも二字決まりの札が勝負だと思っています。その辺のことについてはまた次回以降で触れたいと思います。

練習を再開しました!

3月を最後に休止していた練習を再開しました。静岡県三島市の新型コロナウイルス感染者は5月下旬に発生した1名のみですが、会場によっては競技かるたには貸してくれないところもあり、使用できる会場が限られています。感染防止対策を徹底して行い、当面は新規入会を希望される方や他会の方の受け入れは中止して、会員のみの練習としてやっていきます。

現在は以下のような対策のもと練習していますのでご紹介します。

【練習方針】

・練習会に起因する感染者を出さない。

・考えて取る。限られた練習の効果を最大に。

【対策内容】

・(練習前)体調確認

・参加人数を制限(42畳に6~8組程度)

・室内の換気

・手指の消毒

・マスク、フェイスシールドの着用

・読みは機械を使用

・枚数を減らして15枚対15枚にて対戦、暗記時間を含めて1試合1時間以内で終了

・札は繰り返し使用せず、紫外線殺菌

 

間隔を広くとって実施。

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フェイスシールドは思っていたほど邪魔にならず、取りづらさは感じないようです。

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付け心地の好みは分かれますが、メガネタイプの方が人気がありました。

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殺菌効果の高いUVCランプで札を除菌

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大会の再開を願って、実力アップを目指して少しずつ練習していきます。広い会場が借りられ、人数制限をしなくてもよくなった際には、見学や体験、他会の方もぜひお越しください。

もぐらたたき

コロナの影響で在宅勤務が続いているのに、久しぶりの更新ですみません。この間、多くの方が取り組まれた家の片付けを私も行いました。かるた関連の書類なども結構整理しました。懐かしいものがたくさん出てきましたので、今回はその中からひとつご紹介します。

1999年、名人位を獲得した年のこと。TBSにて深夜帯に放送されていた若者向けの情報バラエティ番組「ワンダフル」にて、全長4.3m、全高1.3mの巨大もぐらたたきに挑戦しました。かるた=反射神経というイメージがあったのだと思います。対戦させていただいたのは、元WBC世界バンタム級王座で4度王座を防衛した薬師寺保栄さん。辰吉丈一郎さんとの日本人同士によるバンタム級統一王座戦はものすごい打ち合いで今でも覚えています。

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ルールは1回10点、50秒間でどちらが多く叩けるかというシンプルなもの。私のもぐらには、ご丁寧に札を貼り付けてくれました。

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結果は薬師寺さんが690点、私が820点と勝たせていただきました。薬師寺さんから周辺視野が広いとお褒めいただきました。

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これは20年以上前のことですが、ビデオテープに録画していたものを発見したのです。テープはボロボロ、ビデオデッキも辛うじて動くという状態でしたが、なんとかデータ化に成功しました。劣化に加えておそらく標準ではなく3倍で録っていたのでしょう。映像は不鮮明で少し残念でした。(若い方は知らないでしょうが、画質を落とす替わりに3倍長く取れるモードがあったのです。)

この映像をデータ化している最中、娘たちがやってきました。休校期間中はひたすら「ちはやふる」を読み続けた娘たちです。既にマニアの域に達していて、高校選手権の決勝で最後に読まれた札は何?とか平気で答えます。そんな娘たちがちはやふるの37巻でしのぶちゃんがもぐらたたきをやっていたよ、と教えてくれました。なまこ貼り付けて新記録。ちはやふるは本当にすごい・・・。

さて、もぐらたたきは目で動きをキャッチして、脳が手を動かしてもぐらをたたく、その速さを競うゲームです。競技かるたは耳で音をキャッチしますから少し違いますが、キャッチするという反射神経には自信があります。もっと自信があるのは運動神経の方です。脳が音をキャッチした後、それを把握して、手に指令を出して動き出すのが速く、かつ指令どおりに正確にできる、これが運動神経です。これが私があまり手を出さずに、かつ正確に取れる理由だと思います。このあたりはまた今度触れたいと思います。

最近のゲームセンターにはもぐらたたきより、ワニワニパニックが多いと思います。どうやら2017年にワニワニパニックの会社は倒産したらしいので、ワニが絶滅危惧種になっているそうです。速さを鍛えるにはちょうどいいと思いますので、ぜひなくなる前にやってみてください。