家でもできる練習(払い編)

人がやっていない今だからこそ自宅で練習してレベルアップするチャンスです。この機会に普段おろそかにしがちな暗記、構え、払いなどの練習をやってみてはいかがでしょうか。毎日10分でも継続すればものすごく力がつくはずです。

前回の「暗記編」に続いて今回は「払い編」です。まずは自陣から1枚ずつ確実に取れるように始めましょう。自陣ができたら敵陣です。

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外側の札から1枚ずつ。

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「失敗するとやり直し」というルールにすると緊張感があります。

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【注意】

①一字決まりを想定して勢いよく払う

②払った後はしっかり構え直す(払う場所が分かっているので構えが崩れやすい)

③払うタイミングは一定にする(手拍子をしてもらう、メトロノームを使うとよい)

※うまく払えない箇所がある場合、構えに問題がある可能性があります。

 【さらなる上達のために】

出札を最短距離で取るということは、札の端、つまり隣の札との境目から取るということです。ですから隣の札も少し動くくらいが理想です。

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さらには目隠ししてできたら良いですね。目で見なくても、同じ位置の札を取る時にはいつも同じ角度、同じスピードで手を出し、そして同じ指先で札に触れるように心がけましょう。それができれば主張する時の説得力も増します。ちなみに10年以上前になりますが「報道ステーション」の松岡修造さんのコーナーで特集していただいた時、暗記して目隠しして取りました。どこが読まれるか分からない中、札直で取らないといけないプレッシャーは試合以上でした。もう今はできないかな。ぜひみなさんもチャレンジしてみてください。

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家でもできる練習(暗記編)

競技かるたは大規模な大会や練習会になればなるほど3つの密(密閉、密集、密接)が重なります。だからと言って感染予防のために相手と2メートル離れて競技するわけにもいきません。(残念ながら敵陣は届きませんでした・・・。)

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しばらく大会は開催されないでしょうし、練習会も難しいでしょう。お困りの人も多いと思いますが、人がやっていない今だからこそ自宅で練習してレベルアップするチャンスでもあります。この機会に普段おろそかにしがちな暗記、構え、払いなどの練習をやってみてはいかがでしょうか。毎日10分でも継続すればものすごく力がつくはずです。

今回は暗記の練習をご紹介します。まずは定位置に並べることが出来る自陣の暗記を徹底するところから始めましょう。

①25枚を定位置に並べる

②並べ終えてから3分計測

③25枚を裏にする

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④決まり字順(む~あ)に札を言い当てる

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⑤全てをすぐに(考えずに)言い当てることが出来たら合格

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※出来なければ暗記時間を調整

⑥次は敵陣へ拡げていく。その際は他の人に並べてもらう、もしくは自分でランダムに並べる。

⑦同じように裏にして言い当てる。実際に読んでもらって取っていくのもいいですね。

【注意】

試合では15分間集中して覚えましょう。

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よそ見をしないこと。

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(A級選手になるまでは)途中退席しないこと。

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【さらなる上達のために】

「頭で分かる」から「聞いて反応出来る」状態が暗記が入った状態です。暗記時間の後半は実際に頭の中で取るイメージトレーニングをします。また、全ての札を同じように覚えるのではなく暗記に強弱を付けます。例えば私は大山札などの決まり字が長い札は弱く暗記します。直ぐに反応しなくても決まり字が長いので後から反応しても取れる可能性があるからです。それよりは短い札、特に二字決まりで複数ある札を強く意識して覚えています。

暗記が全ての基礎になります。試合前だけでなく、試合中もしっかり暗記しましょう!

静岡の強さを支える人たち②

私は静岡県出身ではありませんが、過去の対戦や先輩後輩を含めて静岡の方とは非常に縁があるなと感じています。前回に続いて「静岡の強さを支える人たち」として、高校の教員をされている一人の先生について記載します。(ここでは仮にtommy先生とします)

tommy先生には大学時代に出会ってからお世話になっています。先輩が慕っていたというかなんというか、教師らしからぬ言動で非常に親しみのある先生だからだと思います。高校生の練習相手になってくれと頼まれて、静岡まで早稲田のメンバーと行くこともありました。そしてお酒も一緒に飲みました。時には飲まれてしまって大変なことに。まさか下宿に収容することになるとは。試合で対戦したこともあります。ほぼ不戦勝みたいな感じではありましたが。

実は妻の恩師ということもあって、結婚式のスピーチをしていただいたことも良き思い出です。ゾウさんのパンツをプレゼントしてくれたユーモアたっぷりの先生です。私の高校には部活がなかったので、もしtommy先生のような人に出会っていたら人生は変わっていたかもしれない、そう思えるくらい魅力的な先生です。

このtommy先生、実は高校選手権を何度も優勝に導いた一流の指導者です。その先生が当時強かった理由をこのように述べています。

負けた悔しさは絶対に忘れない

勝たなければ意味がない

日本一になって当たり前

あの頃の私たちのモチベーションは自然とこうなっていた

だから、強かったのだと思う

 今、青春全部懸けるくらい本気でかるたを取っている人はどのくらいいるのでしょうか。泣いていいほど懸けていない、という人も多いのではないでしょうか。あの日悔しくて良かったって、いつか笑って言いたい。そんな気持ちがなければ強くなるまで相当の時間がかかることでしょう。また、日本一になって当たり前という状況においては、優勝旗に、トロフィーに恥じない戦いを絶対にするんだ、こういった気持ちがなければ本当の強さは身につかないと思います。一部ちはやふるからの言葉を引用しましたが、どんなに素晴らしい指導者がいても、選手本人がこういった気持ちを持たなければ変われません。

静岡の先生方は生徒を本気にさせるお手伝いがうまいのかなと思います。tommy先生もあと数年で定年を迎えられます。今でも一緒に飲み、たまに良いことも言ってくれるので、先生の想いもしっかりと吸収して受け継ぎたいなと勝手に思っています。

静岡の強さを支える人たち①

今週小学校と中学校の卒業式がダブルヘッダーで行われ出席してきました。新型コロナウイルスの影響で内容は一部変更して行われましたが、子どもたちの成長を感じることができました。(記念合唱で指揮をする息子、かるたは取れません)

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さて、卒業式同日に静岡県内教職員の人事異動が発表されました。毎年注目するのは高校でかるた部の顧問を務める先生の異動です。特に競技経験があり指導できる先生の異動は競技環境に大きな影響を及ぼすからです。

静岡県は高校選手権において最多となる24回の優勝をしています。10連覇を含めて通算12回の優勝を誇る富士高校だけでなく、長泉、大井川、静岡雙葉、浜松北、静岡東など、これだけ多くの高校が入賞校に並ぶ都道府県は他にありません。

その最大の理由は先生にあると思っています。もちろん生徒の才能や努力もありますが、異動の度に新たな学校で部活を立ち上げて広めてきたこと。それを引き継いだ先生がいて、卒業生が教職員となって同じように活動してきたこと。3年間で生徒が入れ替わる高校において、毎年のように初心者を育成し続けてきたことにあると思います。

その結果、多くの高校にかるた部ができ、切磋琢磨する環境もできました。僅か1〜2年でA級選手を多数輩出する強豪校も生まれ、全国優勝するよりも県大会を勝ち抜く方が難しいと言われた時代もあったと聞きます。

また、今では全国から多くのチームが参加する「静岡オープン団体戦」も高校生の団体戦強化を目的のひとつに始まったと記憶しています。私も大学時代に何度か招集されました。加えて個人のレベルアップを目的に「SKリーグ(静岡高校生リーグ)戦」が用意され、競い合う環境が整っています。今の県内の活動を見ていても支えているのは教職員を中心とした方々で、本当に熱意があり素晴らしいと思います。

今春の人事異動として高校間の異動はなかったようですが、名指導者、名監督と呼ばれる方が一人ご退職されます。その先生はまさしく静岡の強さを支え続け、その功績は県内のみならず非常に大きなものであると思います。本当にお疲れさまでした。来年以降もご定年を迎えられる方が増えると聞いており、不安な面はありますが、私も静岡県の会員の一人としてお手伝いしていきたいと思います。

友達や先生との別れの季節、寂しさもありますが、今はいつでもどこでも繋がれる時代です。それにこれから新たな出会いもきっとあります。ちはやふるの影響で多くの初心者がやってくることでしょう。受け入れは大変ですが楽しみですね。

 (その②へ続く)