札や畳を大切にしよう

イチロー選手はバットを投げないで必ず置いていました。自分の大切な相棒とも言えるバットやグローブ、スパイクなどを大切にして手入れも怠らなかったといいます。つくってくれた方への感謝の気持ちも強かったそうです。

天才が努力を惜しまなかったから安打を量産できたのでしょうが、超一流選手と言われる所以だと思います。本当に素晴らしいと思います。

 

さて、かるたは?

私は審判長を任された時、多くの大会でマナーの話をするようにしています。

例えば、先日の小学生団体戦では、

①相手と読手に挨拶と礼をしっかり行うこと

②読手に分かるように手を真っ直ぐ上げること

③畳をバンバン叩かず暗記をしっかり行うこと

④ちはやふるのように真剣に、楽しく取ること

⑤大会に出場させてくれた、お父さんやお母さん、監督や先生に感謝をすること。大会に協力してくれたちはやふるの末次先生や講談社様にも感謝の気持ちを持つこと。

これが出来れば、例え今日負けてもいつかきっと一流選手になれる、出来なければ、強くはなれても一流選手にはなれないと思う。

こんな話をしました。

 

特に畳を叩く行為は本当に百害あって一利なしですので撲滅したいと思っています。ここ数年は競技人口が増えて大会の対戦組数も増えたせいか、一斉に何かに取り憑かれたかのようにバンバン畳を叩き続ける会場の光景は異様です。

 2分前、試合中の下の句が読まれるまでの間、この時間は確かに素振りをしてもルール違反ではないけれど、畳は必要以上に叩いてはいけないというルールがあります。必要な時とは、札を取った直後に体勢が崩れて体を支える時です。その時はバンと畳に手をつくように叩くことは仕方のないことですし、体ごと勢いよく取ることは大切です。でも、それ以外で畳を叩く行為は全く意味のない無駄な行為で明確なルール違反です。

マナーの話に戻します。畳を叩く行為は、相手からすると、静かな環境で暗記させてよ、読手からすると、いつ読めばいいの、会場からすると、畳が痛むから競技かるたには使って欲しくないな、って感じなわけで、自己中心的で思いやりが足りない行為だと思います。

本人にとっても、体力は無駄に使うし、静かな環境の方が暗記もできるはずです。もちろん、手に覚えさせることは大切ですが、畳を叩いて覚えるものではありません。

また、2分前、試合中に全力で素振りをして畳を叩く人は、戦う準備が出来ていない人です。体を動かすことは試合前に準備運動としてやることだからです。だから一流選手になればなるほど、大きく素振りをする人、畳を叩く人がいないのだと思います。

 

札や畳を大切にするような気持ちがあれば、自然と取りも美しくなり、きっとかるたの神様も味方をしてくれると思います。どうすれば強くなれるのか、技術や戦略を磨く前にやるべきこと、考えることはたくさんあります。以前元クイーンの方と、トイレのスリッパも揃えられない人が、かるたが強いわけがない、そんな話をしたことがあります。「かるた道」と言われるくらいですから、競技を通して心も磨きたいですね。